ガミースマイルと
矯正治療
ガミースマイルとは
「ガミースマイル(gummy smile)」とは笑った際に歯茎が目立つ、または見えすぎてしまう口元のことを指します。「ガミーフェイス(gummy face)」とも呼ばれ、コンプレックスに感じている人もいらっしゃいます。
ガミースマイル自体に健康上の問題があるわけではありませんが、出っ歯（上顎前突）などの咬合の問題がガミースマイルを引き起こしていることがよく見受けられます。
矯正治療で改善が可能なガミースマイルはこうした不正咬合と関係するものです。
美しい口元の考え方
口元の美しさに関しては、「リップライン」「スマイルライン」、また横から見た時の「E-ライン」などいくつかの基準があります。
不正咬合が関係しているガミースマイルの場合、横顔に審美面での問題を感じている方も多くいらっしゃいます。ただ、患者さんが「ガミースマイル」かどうかは、リップラインという基準が関係しています。
リップラインについて
リップラインとは微笑んだ際に上唇の下端が描くカーブのことを言います。
リップラインに関しては、口角を上げて微笑んだ際に、上の前歯が75%から100%（歯茎部分は歯間の歯肉が少し見える程度）見える「ミドルリップライン」が理想とされており、ミドルリップラインを超えて、上の歯の歯茎が3mm〜4mm程度露出する場合、ガミースマイルであると一般的に言われています。
ミドルリップラインアベレージスマイル
上の前歯が75%から100%露出。歯茎の露出は歯の間の歯肉(歯間乳頭)が少し見える程度。
ローリップラインロースマイル
上の前歯が唇に25%以上隠れ、歯茎の露出がほとんどない。
ハイリップラインハイスマイル
上の前歯が100%露出し、ガムラインの上端より上の歯茎も見える口元。ガムラインの上端から3mm〜4mm以上歯茎が露出する場合、ガミースマイルと見なされる。
女優業やモデル業などで活躍している方の中にはガミーフェイスの方もいて、その方の魅力となっている場合もあります。
美しさの理論やそこから生まれた基準は審美歯科治療や矯正歯科治療に欠かせません。ただ、美しさの捉え方は人それぞれであり、一人ひとりが持つ美しさも異なります。
新宿南口矯正歯科では、歯や口元といった部分だけを見るのではなく、その方のお顔との調和、さらには咬合などの機能面との調和を重視し、ガミースマイルの改善を行います。
ガミースマイルの原因と改善方法
ガミースマイルとは笑った時に歯茎が見えすぎてしまう口元のことだとお話しましたが、ガミースマイルとなる原因・理由は複数あり、いくつかの原因が複合的に存在していることもあります。
ガミースマイルの原因の中でも比較的多いものが、骨格や噛み合わせ(咬合)によるものです。
矯正治療とガミースマイルの改善
矯正治療では、骨格や噛み合わせに問題があってガミースマイルとなっている場合に、噛み合わせの矯正と含めてガミースマイルの改善も行うことができます。
中でもガミースマイルは上顎前突と関係が深く、出っ歯で悩まれている方でガミースマイルも気になっている方は多くいらっしゃいます。
ひとくちに出っ歯(上顎前突)といっても、出っ歯となる原因もまた複数あります。以下でそれぞれの原因とどのようにしてガミースマイルが生じているかを見ていきましょう。
上顎骨の長さと出っ歯が要因のガミースマイル
骨格・噛み合わせの問題外科矯正や歯列矯正
上顎の骨の長さが長い骨格では、上唇の位置より上顎(上の歯列)が下になり、歯茎が露出しやすくなります。さらに上顎骨に下顎が押し下げられ、顎が後退し出っ歯となり、あごがはっきりとしない(顎がない)横顔となっている方が多くみられます。
面長であったり、人中が比較的長い方、唇を閉じた際に顎に梅干しのようなシワが入る方は、上顎骨の長さが原因となってガミースマイルを引き起こしていることがあります。
上顎骨の突出(上顎前突・出っ歯)が原因のガミースマイル
骨格・噛み合わせの問題外科矯正や歯列矯正
上顎自体が前に突き出ていると、唇が閉じにくい他、笑った際に上顎前歯に唇が押し上げられ、前歯や歯茎が露出しやすくなります。
上顎の過成長の他、下顎の劣成長が原因となり相対的に上顎前突となっているケースや、口呼吸が原因となるアデノイド顔貌の場合もガミースマイルを伴う場合があります。
過蓋咬合が原因のガミースマイル
骨格・噛み合わせの問題主に歯列矯正
噛み合わせが深く、上顎前歯が下顎前歯に覆いかぶさり、下の歯がほとんど見えなくなるような噛み合わせの問題を過蓋咬合(かがいこうごう)やディープバイトと呼びます。過蓋咬合の場合には、上顎前歯の位置が通常より低い位置にあるため、やはり上顎の歯茎が露出しやすくなります。
過蓋咬合は上で述べたような上顎骨の長さや上顎骨の突出と関係していることも多く、出っ歯と共に過蓋咬合となっているケースも少なくありません。
骨格･噛み合わせが原因となるガミースマイルは健康への影響も
ガミースマイルは上顎の長さや大きさ、突出によって引き起こされることが多く、特に「出っ歯」「口ゴボ」「アデノイド顔貌」などと深い関係を持ちます。
審美的な面を気にされて相談に来る方が多くいらっしゃいますが、実は上記のように噛み合わせの問題を伴っていることもよくあります。
過蓋咬合では顎関節の不調を引き起こしやすく、出っ歯(上顎前突)では口呼吸・口の乾燥・咀嚼の問題などを伴うなど、噛み合わせの問題は健康面への影響も大きいため、矯正治療では機能面を重視した噛み合わせの調整を行います。
ガミースマイルの改善方法一覧
ガミースマイルにはその原因に応じていくつかの改善方法があります。上で述べたように骨格や噛み合わせが原因となっていることが多いのですが、それを知るためには、セファログラム（頭部規格X線写真）と呼ばれる頭部のレントゲン写真を用いて、上下顎の大きさや位置関係、歯の傾きなど丁寧に分析を行うことが必要となります。
矯正歯科領域
歯列矯正アンカースクリュー使用
骨格・噛み合わせの問題矯正治療で出っ歯などの噛み合わせを整えると共に、歯科矯正用アンカースクリューを使用することで上顎前歯の位置を引き上げガミースマイルを改善していきます。
外科矯正＋歯列矯正サージェリーファースト
骨格・噛み合わせの問題上顎の長さや突出など骨格の問題が大きい場合、顎の骨自体を外科手術によって整えることでガミースマイルの他、噛み合わせや横顔のバランスを整えることができます。
審美治療・美容外科領域
また中には骨格や噛み合わせの問題以外に、歯の大きさや歯茎、口周りの組織が原因となりガミースマイルを引き起こしていることもあり、全てが矯正治療で改善できるわけではありません。
ただし、骨格や噛み合わせに問題があるにもかかわらず、以下のような治療方法を選択することは根本的な問題の解決にはつながらないことが多いです。
歯を長くする手術
歯・歯茎の問題歯冠が短い場合や、歯を歯茎が大きく隠している場合、歯冠長延長術(クラウンレングスニング / 歯肉と歯槽骨の整形を行う)や歯肉切除(歯肉を部分的に切除し整形する)といったガミースマイルを改善する方法があります。これらの手術と合わせ、天然歯を削りセラミックの歯に置き換える方法も存在しますが健康な天然歯を失うことになります。
筋肉への注射
口周辺組織の問題上唇挙筋や上唇鼻翼筋は上唇を持ち上げる際に使われる筋肉ですが、働きが強すぎると唇を持ち上げすぎるため、微笑んだ時に歯肉まで露出させることがあります。これらの筋肉の緊張をほぐすボツリヌストキシンを注入し上唇を上がりにくくすることでガミースマイルが改善されますが、効果は6ヶ月程度のため、継続して行う必要があります。
上唇粘膜切除術
口周辺組織の問題上唇の裏側と歯茎の上の粘膜を一定量切除し縫合し、上唇から歯茎までの長さを短くする方法で、上唇挙筋の働きで上唇がめくれ上がるのを防ぎますが、笑った際のお顔が変化することもあります。
