出っ歯(口ゴボ)とは

歯槽性上顎前突(歯が問題の出っ歯)

上の前歯が前方に傾斜していくことで生じる上顎前突のことを歯槽性上顎前突(出っ歯)と呼びます。

歯槽性の出っ歯の場合、上下のあごの位置に大きな差はありませんが、上の歯の前歯が前方に大きく傾斜します。歯が前に傾くことで口が閉じにくくなる他、咀嚼の問題や噛み合わせが深くなる問題も伴いがちです。

上の前歯と下の前歯の前後位置関係のことを「オーバージェット」と呼びますが、そのオーバージェットが4mm以上だと、上顎前突傾向と言えます。

骨格性の出っ歯(骨格性上顎前突症)

骨格性の上顎前突の「出っ歯」は、歯だけでなく上あごの骨が前に出過ぎている、または下顎の骨が小さい(劣成長)場合に「骨格性」と診断することができます。

骨格性の「出っ歯」も矯正治療で治療ができますが、重度の場合には骨格自体を整えるため外科矯正の手術(サージェリーファースト)が必要になることがあります。

A点は上顎骨の前方、B点は下顎骨の前方の位置を指す点。N(ナジオン)とそれぞれを結んだ際、平均的な噛み合わせでは、A点とN点、B点とN点を結んだ線が作る角度(ANB角)はごく小さい(2〜5度程度)。この角度が大きいと骨格性の「出っ歯」として上顎前突傾向と診断します。

この診断は精密検査時に撮影するセファログラム分析によって行います。「出っ歯」イコール「上顎が大きい」ことが原因となっていると考えられがちですが、下顎の小ささから相対的に上顎が前に出て出っ歯となることもあります。日本人の下あごは劣成長の傾向にあり、この下あごの位置が原因となって骨格性上顎前突となっている場合が、近年では多いと言われます。

骨格性と歯槽性の混合型の「出っ歯」

出っ歯(口ゴボ)の原因は大きく分けて「骨格性」と「歯槽性」のふたつがありますが、実は骨格性と歯槽性の混合型が最もよく見られる出っ歯の原因です。

出っ歯の矯正治療は「出っ歯」の原因を正しく分析した効果的な矯正計画が重要です。それに欠かせないのが精密検査です。新宿南口矯正歯科では、歯科用3DCTの撮影、セファロレントゲン撮影、歯型の採得、顔面写真撮影等を行なった上で治療計画を提案します。

機能性上顎前突

「出っ歯」に限らず不正咬合には、骨格の問題（骨格性）、歯の問題（歯槽性）の他、機能面の問題（機能性）の３要素が存在します。

機能性の出っ歯(口ゴボ)は、下あごを閉じようとする際に、その動きを邪魔する何らかの要因があり、動きを阻害されたために生じる問題のことを指します。機能面の場合も単体で生じるというより、骨格性や歯槽性との関係の中で生じることが多いと言えます。

アデノイド顔貌、口ゴボは「出っ歯」？

患者さんに「出っ歯」と共にご相談頂くなかに「アデノイド顔貌」や「口ゴボ」があります。

「口ゴボ」は口元が相対的に出ている状態をあらわすネット由来の言葉で、不正咬合の分類で言うと「上下顎前突（じょうげがくぜんとつ）」となります。

「アデノイド※顔貌」とは、アデノイド肥大が原因となるお顔の特徴を指しますが、「口呼吸」が引き起こす口元やお顔の変化、下顎の劣成長が原因となる上顎前突もアデノイド顔貌と似ているため、口ゴボや出っ歯と混同されがちです。

アデノイド顔貌については早期の治療が望ましく、アデノイド肥大自体は耳鼻科に、アデノイド肥大が原因となって生じている骨格的変化については矯正歯科での相談・治療となります。

口ゴボもアデノイド顔貌も「口元が出ている」「顎がない・後退している」といった特徴を持ちますが、「上下顎前突」なのか「出っ歯(口ゴボ)」なのかはご自身ではなかなか判断が難しいと思われます。口元の突出感でお悩みの方は矯正歯科での相談、精密検査をお勧めします。