矯正治療のオートローテーションはどんな時に起きる?
オートローテーションとは下顎の自動回転(mandibular autorotation)のことを指します。
人がものを噛む、発声するために口を動かす際、動いているのは下顎です。下顎は上下や左右に動くことができますが、口を開閉する動き(上下運動)の際は、 下顎頭という箇所が回転をしています。
ですので、普段から下顎は回転を行っているのですが、矯正治療で言うところのオートローテーションとは、口を閉じた時の顎の位置が下がる・前に出ることをあらわしています。
開咬(かいこう)や過蓋咬合(かがいこうごう)の矯正治療
口を閉じた時の顎の位置、つまり口をどこまで閉じられるかは、噛み合わせによって決まります。
中でも上下の臼歯(奥歯)の関係が重要で、上下の臼歯を噛み合わせた時の高さが高い(咬合高径が高い)と前歯部分が噛み合わない「開咬(かいこう)」となります。
一方、上下の臼歯を噛み合わせた時の高さが低い(咬合高径が低い)と前歯が深く噛み合う「過蓋咬合(かがいこうごう)」となります。
こうした不正咬合の場合、矯正治療では、奥歯の噛み合わせや萌出の程度を調節することで、適切な噛み合わせ・歯並びを作っていきますが、その際にオートローテーションが生じることがあります。
出っ歯・口ゴボの矯正治療
出っ歯(上顎前突)や口ゴボは前歯の傾斜・上顎の前突などが主な原因ですが、下顎が下がりすぎていることでも生じます。
骨格的な問題が大きい場合には外科矯正が必要となりますが、軽度の場合は噛み合わせを調整することで顎の位置を改善していきます。その際にオートローテーションが生じる場合があります。
また、ガミースマイルは「過蓋咬合(かがいこうごう)」や「出っ歯(上顎前突)」に伴って現れることが多い症状です。
ガミースマイルの治療でも、噛み合わせを調整する中で、オートローテーションを生じさせることはあります。
オートローテーションは咬合高経(噛み合わせの高さ)を変化させることで生じる現象ですが、下顎の位置は噛み合わせだけでなく、筋肉などの周辺組織によっても影響を受けています。
そのため、咬合高径を変化させる矯正治療は後戻りもしやすく、慎重に治療計画を行っていく必要があります。