矯正治療には痛みや不快感を伴うことは多くの人がご存じだと思います。ただ、どんな痛みなのか、耐えられるのか、不安に思う方も少なくありません。裏側タイプの舌側矯正に関しては、痛みは数日間でおさまることがほとんどで、装置の違和感についても2〜3週間で慣れることが多いです。
舌側矯正の痛み
装置が口の中に当たる痛み
歯の裏側に矯正器具を装着しているために、主に舌に器具が当たって傷がつき、口内炎ができる可能性があります。また、下顎の奥歯に装置をつける場合は、舌の根元の部分と舌側装置が当たりやすく、痛みや炎症ができやすい傾向にあります。
歯が動く際の鈍い痛み
歯列矯正において歯が動く際の痛みはジンジンという鈍い痛み(疼痛 / とうつう)で、装置を装着した直後や調整後に出やすくなります。我慢できないほどの痛みではありませんが、特に物を噛むときに痛みを感じやすいです。
歯を動かすときの痛みについては個人差も大きく、矯正装置の種類や力のかけかたによっても違いがあります。
舌側矯正の発音・滑舌
舌側矯正では、発話の際に舌が装置とあたるため、発音・滑舌が難しくなる場合があります。特に舌を前歯の裏側につけることで発音するサ行やタ行は音が出しづらくなります。
また、日本語よりも舌の動きが重要になる英語ではさらに発音がしづらくなる場合があります。ただし、1週間から2週間ほど意識して話していると、ほぼ通常通りの発音を取り戻すことができます。
舌側矯正中の食事
矯正装置に慣れるまでは、食べにくさを感じる場合が多くあります。また、装置を付けたばかりの時や調節した直後は痛みを感じることもあるため、硬いものが噛めないこともありますが、早い人で1週間~2週間、おおむね1ヶ月程度で改善されます。
また、硬いもの・歯につきやすいもの(お餅やキャラメル)は矯正装置が外れる原因となることがあります。
装置を付けたての時期に適している食事や食べ方についてもご案内いたしますので、お気軽にお尋ねください。
新宿南口矯正歯科では、担当の矯正歯科医が舌側矯正装置の技工を行います。患者さんごとのマイナートラブルにもできるだけ対処いたしますので、ご不安な点、気になる点は都度ご相談ください。
矯正歯科治療にともなう一般的なリスク・副作用
どのような医療にもリスクは伴いますが、矯正治療にも患者さんに知っておいていただきたいリスクや副作用が存在します。
各リスク・副作用はすべてが起こるわけではなく、新宿南口矯正歯科では、検査・治療計画・定期的な確認によってこれらのリスクを事前に防ぐようこころがけています。
矯正装置による不快感、痛み(疼痛)
矯正装置の不快感や痛みを感じる期間は人それぞれで、処置の内容によっても変化しますが、一般的に、矯正装置を装着してから2〜3週間ほどで装置がお口の中にあることに慣れてくるようになります。
また、歯が動く際の痛みは感じ初めて1日〜2日ほどで収まることが多いと言われています。
治療期間の延長
歯の動き方には個人差があり、診断時に予測した治療期間を超える可能性があります。また、マウスピース等の矯正装置やエラスティック(顎間ゴム)の装着時間が足りない場合にも治療期間が延長される場合があります。
虫歯や歯周組織の炎症
矯正装置を装着している間は、丁寧な歯磨きが必要となります。歯の清掃が不十分ですと虫歯や歯周病にかかりやすくなります。歯のみがき方指導を行いますので、歯みがきを徹底し、矯正治療中も口腔内を清潔に保つようにしてください。
歯根吸収
矯正歯科治療中、歯根が歯の土台(歯槽骨)に吸収されていき、短くなることを歯根吸収(しこんきゅうしゅう)と呼びます。矯正治療において歯を無駄に動かしたり、強すぎる矯正力をかけてしまう場合に、歯根吸収を引き起こす可能性があります。
歯肉退縮
歯茎が下がり、歯の根元が露出するようになることを歯肉退縮(しにくたいしゅく)と呼びます。矯正治療ほか、強すぎるブラッシングなどでも生じます。歯根が露出すると、知覚過敏を引き起こし、虫歯・歯周病にもなりやすくなるほか、審美面でも問題となります。
矯正治療において歯の動かせる範囲は、歯槽骨のある部分だと決まっており、歯槽骨から歯が外れていった場合、歯肉退縮が生じることがあります。
また、矯正力が強すぎた場合、歯槽骨が吸収され歯茎が下がることでも歯肉退縮は起こります。
骨の減少
歯を支える骨や歯肉がすでに不健康な状態
エナメルクラック
装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
後戻り
矯正歯科治療が終了した直後は、歯は不安定で動きやすい状態にあります。矯正後の歯を安定させるため、リテーナー(保定装置)の装着をお願いしています。リテーナーを指示通り使用しない場合、歯並び・噛み合わせが再び乱れてくる「後戻り」を引き起こすことがあります。
装置の破損、脱落
矯正装置は小さな部品から成り立っており、何らかの衝撃により外れた場合、矯正装置を誤飲する可能性がありますのでお気をつけください。装置のゆるみ、浮き、ぐらつきなどを感じた場合には早めにご相談ください。
装置による口腔内の炎症
ゆるんだり破損した装置によって、または口をぶつけたりすることによって、頬や唇が傷ついたり炎症を起こすことがあります。
顎関節に対する影響
矯正治療中、一時的な噛み合わせが顎関節に影響を及ぼし、顎の痛み、開口障害などを引き起こすことがあります。
アレルギー
装置の種類、材質はそれぞれ異なりますが、装置に対してアレルギー反応を起こす場合があります。金属アレルギーやラテックスアレルギー等、事前に確認いたしますが、治療中に反応が出た場合、装置を変更したり、治療を中止することがあります。
歯の癒着
ごく稀に、歯が生える過程で歯と歯が癒着すること(癒合歯 / ゆごうし)、強い衝撃などにより歯と歯槽骨とが癒着していること(アンキローシス)があります。癒着した歯に対してむやみに矯正力を加えても歯の移動は難しく、治療前の検査にてよく確認する必要があります。
治療済みの歯に対して
歯に被せ物などの大きな修復物が装着されていると、神経に影響が生じることもあります。また、矯正治療後、かぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などを
治療後の噛み合わせに合わせてやり直す必要がでてくる場合があります。